今や澤野さんのライブでは欠かせないキラーチューンである「Barricades」(『進撃の巨人 Season2』OST収録)。本稿はライブでのポジション・劇伴としての使い方を探ってみます。
ライブ
ライブでの初披露は2017年10月の「Attack 音 体感2」でしたが、まず鮮烈な印象を残したのはSawanoHiroyuki[nZk] LIVE 「2V-ALK」 DAY.2のアンコールだったと思います。その後「REMEMBER」などで定番となるライブでのシンガロングですが、澤野さんのライブでがっつりシンガロングを行ったのはこの時が初めてでした。Yoshさん達の煽りによって会場全体で「Wo-oh-oh」の部分を繰り返し歌うことになった2V-ALKライブは、その後の澤野さんの楽曲制作(「BELONG」など)や私たちのライブの楽しみ方も一変させました。まさしくエポックメイキングな曲なのです。
劇伴として(Season 2・Season 3)
進撃の巨人Season2の挿入歌として制作され、PV第2弾で使用されたのが初出です。
その後本編ではなかなか使用されず、Season2最終話の37話「叫び」で使用されました。ヒストリアがユミルに向かって「何だか不思議なんだけど、あなたといればどんな世界でも怖くないや!」と言い放って華麗な立体機動を披露したシーンはかなり印象的でした。しかし使用された尺は短く、それ以降もThe Final Seasonまでボーカル版は使用されませんでした。また、Season2の総集編である『劇場版「進撃の巨人」Season2~覚醒の咆哮~』では同じシーンながらTV版とは異なるミックスとなっています。この総集編の主題歌では前半はスローアレンジになった「Barricades <MOVIEver.>」が起用されていますね。
ちなみにアレンジ曲の一つ、「AOTs2M他1」後半は35話「子供達」で原曲に先んじて使用されています。ユミルが巨大樹の森で巨人化、エルヴィン団長率いる調査兵団・憲兵団も現場に到着しSeason2の最終決戦の始まりを予感させる使い方となっていました。
また、オーケストラアレンジの「BARRIchestra」はSeason3の46話「壁の王」(特別総集編第3夜でも2度使用)及び57話「あの日」などで使用されています。奇しくも前者はもう一度ヒストリアの活躍シーン、後者はダイナ・フリッツ登場のシーン…つまりは進撃の巨人世界における”王家のイメージ曲”という意味がBarricadesに付与されたとも言える選曲でした。
劇伴として(The Final Season Part 2)
そして再び本編で使用されたのが81話「氷解」でした。始祖の力を手に入れたエレンが地鳴らしを発動し、もはや絶望しかない展開の中でこの選曲は全くの予想外であり、大きな話題となりTwitterのトレンドにも一時入るほどでした。ワンコーラスはインスト版であり、ボーカルは入らずに終わるか…と思わせてのボーカル版の長尺の使用で目が冴え眠れなくなったリアタイ勢も数知れず。絶望的な状況でこそ、104期の立体機動の見せ場で…というこだわりはファンを大いに歓喜させました。
この選曲は音響監督の三間さんであることが明らかになっており、『ギルティクラウン』『甲鉄城のカバネリ』と澤野さん劇伴担当作品と長く組んできた方だからこその思いがあふれるチョイスだったことがわかります。
リリースから5年、劇伴曲とライブでのアッパー曲としての立ち位置を行ったり来たりしながら、曲の意味が変わっていくのはとても面白いですよね。進撃の巨人劇中で一度しか使われていない別のボーカル曲(「Bauklötze」「Zero Eclipse」等)もこれからの展開再登場しないか、期待が膨らんでしまいます。
Barricadesが演奏されたライブ(〜2022.2時点)
おまけ「<MOVIEver.>制作の背景」
劇場版 Season 2〜覚醒の咆哮〜の主題歌「Barricades <MOVIEver.>」が発表されたのは、『サウンド・デザイナー2018年2月号』のインタビューでした。(2018年1月9日発売)
インタビューでは、進撃の巨人の音楽に関する様々なエピソードのほか、主題歌制作の背景についても触れられています。
澤野「自分でも気に入っていたんですが、劇中ではあまり大きくフィーチャーされる場面がなかったんです。最終回の重要なシーンでは使っていただいたんですけど、せっかくだから劇場版のエンディングで「”Barricades”をフィーチャーしたい」とプロデューサーさんに伝えたんです。」
SOUND DESIGNER 2018年2月号
主題歌担当情報の初出が、澤野さんの公式サイトやツイッターではなく、雑誌のインタビューだったのは初めての出来事でしたね。その後、澤野さんがTwitterでも主題歌について言及しています。
また、Yoshさんのボーカルが本編で使用されたのは、<MOVIEver.>が初でした。
「Barricades」はPV第2弾、37話、劇場〜覚醒の咆哮〜で、2コーラス(mpiさん&Gemieさん歌唱パート)が使用されたため、Yoshさんが歌唱するワンコーラスはそれまで本編未使用。
ワンコーラスのサビを使用
・「Attack 音 体感2」テレビCM
・「Season3 BD&DVD映像特典 ちみキャラ劇場」オープニング
・3DS「進撃の巨人2~未来の座標~」紹介トレーラー
2コーラスのサビを使用
・BD&DVD第1巻告知CM
・3DS『進撃の巨人2~未来の座標~』ティザートレーラー
イントロ~Aメロ~ラスサビを使用
・TVアニメ「進撃の巨人」10周年プロジェクト始動PV
81話は、ワンコーラスのボーカルは流れませんでしたが、ラスサビが使用されたためYoshさんmpiさんGemieさん全員のボーカルが劇中で流れる初の使用シーンとなりました。
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